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Kiteplan of Clionekite (クリオネカイトの作り方) 

こちらでは2007/12/22の毎日新聞に掲載されたクリオネカイトの作り方をご紹介します。
記事のリンク先:http://mainichi.jp/life/housing/news/20071222ddm013100011000c.html

<クリオネとは>
北極・南極の周辺海域に分布する軟体動物で日本では冬のオホーツク海沿岸で見ることができる軟体動物である。その透明な美しい姿から氷の妖精と呼ばれているが、パタパタと羽のように見える部分を動かしている様は天使のようで愛らしくもある。

作例で取り上げるクリオネカイトは私が2006年あたりから”洋風やっこ凧”を作ろうと目論んでいるうちに出来上がった代物である。当初は洋風やっこ凧にちなんで”Yakko”というコードネームが付いていたのだが、十数機と試作を重ねるうちにセッティング次第では空でパタパタ羽ばたいて見えることが判明し、一気にこの形に仕上がったのだった。
(YOUTUBE:クリオネカイトの動画)


この凧はどこのホームセンターでも入手できる材料を使用して製作しますので、ほんの少しの時間と工作魂があれば簡単に作れます。

作るのは簡単ですが、上手に揚げるのはちょっと難しいかもしれません。
乱気流に敏感に反応して急に宙返りしたりしますので絶対に走って上げてはいけません。
この凧に最適な風は旗がなびく程度の強さになります。風に背を向けて立ったまま凧をスルスルと風に乗せていく様にすると自然に上がっていきます。どちらかというと大人向けの凧かもしれません。

時折、意表をついた動きをしますので全く油断はできませんが、凧がどんな動きをした時にどんな操作をすればよいのかを考えながら上げる事で、この凧の本当の楽しさを実感できると思います。

この凧に無用に長い上げ糸は要りません。凧との対話を楽しみましょう!!

前置きはさておき、早速製作開始!


<用意するもの>

ヒノキ棒:2x10x900 1本  ヒノキ棒:2x5x900 1本  平竹棒:2x5x900 1本 (単位はmm)
材料は出来るだけ真っ直ぐなものを選ぶ事。平竹棒はしならせた時に左右均一にしなる事も大事です。
左右対称が良くあがる凧の絶対条件になります。

ビニール袋:羽根は4分割で作るので大きなビニールでなくても良いですが、厚さは0.03mm〜0.04mm位のものを選びましょう。
弾性接着剤:セメダインのSUPER−XやコニシのSUなど。
工作用紙:3枚 羽根の型紙を作るときと骨を接着するときの台紙として使用します。
強力ビニール系両面テープ:10mm幅x1本  5mm幅x1本  100均でも売っています。
凧糸:1巻き(80mくらい)

その他に工具として カッター・定規・サインペン・キリまたは千枚通し。
カッター用マットなんかもあると便利です。
 

<凧の設計図>

組み立て方の@〜Dの順番に作っていきますが、その前に下ごしらえをしていきましょう。
 
<骨を作る>

2x10x900のヒノキ棒は425mmにカットする。
これが縦骨になる。
横骨になる2x5x900の平竹棒はそのまま使用するが、
中心にサインペンでマークを入れておく。

2x10x425のヒノキ棒と2x5x900の平竹棒を
弾性接着剤で貼り付けて垂直に交わるように固定する。

2x10x425のヒノキ棒は上に10mm飛び出すので
間違わないように。

位置決めのガイドには工作用紙を使っても良い。
ここで接着剤が完全に乾くまで1日放置する。
焦ってはいけない。

<面材(羽根)のテンプレート>

 
<羽根の面材を作る>

工作用紙を使って面材切り出し用テンプレートを作る。
用紙の長さが足りなければ2枚をつなぐ。

カーブになっている部分は各自のフィーリングで
適当に切りましょう。
 
テンプレートを使ってサインペンでビニールを罫書き、
同じものを4枚切り出す。



用意するビニール袋のサイズは
この面材1枚が取れればよいので買い物袋でも何でも良い。

各自で工夫してみよう。
 
Bの羽根になる2枚は
更にテンプレートの赤い線の部分でカットする。


これで面材の切り出しは終了。
<ようやく凧の形にしていきますよ〜>

縦骨と横骨がしっかり接着されたのを確認できたら
おまちかねの羽根を貼っていきます。

赤線の部分の骨には10mmの両面テープを
黄線の部分の骨には5mmの両面テープを使います。
 
1枚目を貼り終えた状態です。

左右対称が必要なのでシワにならない様に気をつけましょう。
かと言って引っ張りすぎてビニールを伸ばしてしまうのもNG。


微妙な力加減をマスターしましょう。
 
2枚目を貼っていきます。

さっき同様に赤線の部分の骨には10mmの両面テープを
黄線の部分の骨には5mmの両面テープを使います。

縦骨部分の面材は完全に重なります。
 
ここで貼り方のコツを。
(え?先に書けって?  まぁまぁ落ち着いて)

両面テープの剥離紙を気前良く一気に剥がしてしまうと
予定外のところに貼り付いたりしてイライラしますので
写真の様に少しずつ剥がしていくと綺麗に仕上がり易いです。
 
2枚目を貼り終えましたので胴体部分の羽根を貼ります。

縦骨に沿って10mmの両面テープを貼りますが、
貼り始めの位置は横骨上端から90mmのところになります。
  
縦骨に沿って3枚目を貼りました。
しかし、この状態では上端がビラビラのままです。
そこでこの部分に5mmの両面テープを貼り・・・
下の羽根に貼り付けてしまいます。
ここもシワにならないように貼り付けましょう。
反対側も同様に・・・
貼り付けます。
ここで凧を裏返して
残してあった2x5x900ヒノキ棒を使用します。

900mmのヒノキ棒から450mmの棒を2本作ります。
切り出した2本には5mmの両面テープを貼っておきます。
 
この棒を写真の位置に貼り付けます。
わかりづらいので詳細写真を。
ポイントは縦骨には乗せずに突き当てるだけにしておくこと。
ボンドなどで固定したりしないでください。

凧の骨の剛性には関与しないフリーな骨になります。
この骨が羽根のバタつきを抑えるスタビライザーの働きをします。
  
翼端側も同様に突き当てるだけ。
反対側も貼って・・・
ようやく凧の形になりましたね!!
<反りをつける>

今度は凧に反り(そり)をつけるために張り糸を付けます。

翼端から10mmくらいの位置にキリなどで穴を開けます。
この穴に一端に輪っかを作った糸(10cm位)を結びます。


ここでは見やすいようにピンクの水糸を使用していますが、
皆さんは普通の凧糸を使用してください。
今度は縦骨の余った材料から作った
反り調整プレートに糸を結びます。

糸の長さは120cm位にしておきましょう。
 
反り調整プレートに結んだ糸を
羽根に固定した糸の輪っかに通します。
 
輪っかに通した糸の先端を
反り調整プレートの穴に通していきます。


ちょっとわかりにくいので写真をよく見て。
通した糸を引っ張って・・・
反対側の翼端に結ぶ。
結んだら、写真の位置の糸をつまんで
反り調整プレートを引っ張ると・・・
このように凧に反りがつきます。
風の強さによって調整していく必要はありますが、
基準の反り高さは25cmです。


風が強ければ反りを増やし、弱ければ反りを戻します。

<セットアップ詳細図>

 
<最後の仕上げ!糸目糸をつける>

出来上がった凧にサインペンで糸目中心位置をマークします。
上側の糸目糸を付けます。
糸目糸には2m位の糸を使用してください。


糸目糸が短いと凧の安定性が下がります。
下側の糸目糸を付けます。
胴体部分のビニールにはキリで穴を開けます。
糸目を取ります。
糸を摘んだ指を糸目中心に置いて糸を引っ張ります。
わかりにくいので拡大。

糸目糸をギューと引っ張って糸目中心から
1本の糸が出ている様な状態にします。
合わせた位置で揚げ糸を結ぶ為の
輪っかを作って糸目取りは完了!
<最後の味付けに・・・>

縦骨下端のこの部分に強力な両面テープを使って
5円玉を貼っておきます。

このオモリがクリオネカイト独特の動きを生み出す秘密(笑)

オモリが無くても飛びますが、
かなりピーキーな特性なので玄人向けになります。

やっと完成!お疲れ様でした!

飛ばない時のFAQは追って製作しますが、基本は骨の硬さも凧の形も左右対称に出来上がっていること。
そして走ってあげないことです。


オマケで当日の取材の様子を・・・

写真は取材にきたSさんと実際にクリオネカイトを作っているところ。1工程ずつ写真を撮りながら進んでいきます。
最初の骨の接着は養生時間が必要なため、前日に私のほうで完了しておきましたが、
面材の切り出しから完成まではSさんにやっていただきました。
 

当日の全工程の中で一番緊張した場面が、実際に揚げてもらうところ。

この日の印旛沼は風が異常に強く、完全にクリオネカイトの飛行可能レンジを越えている様な気がしましたが、
実際に飛んで(いるところを確認してもらってい)ない凧を紹介してもらうのも非常に気が引けるので、とりあえずトライ。

微妙にバランスが悪いのか、標準セッティングではクルクル回ってしまって揚がらずちょっともがきましたが、
反り高を30センチ増やしたところでようやく安定。
Sさんと私の娘達との3機のクリオネカイトが夕闇(ってか漆黒?)の佐倉の空に吸い込まれていきました。
本気で凧が見えないんですけど・・・


通りかかる車は”??こんな寒空に何やってんだ?”ってな感じで皆徐行(汗)。
いや、汗なんて全く出ないほど寒かったのですが、無事凧が揚がって良かったですよ。ホント。

 
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